35歳からの婚活は遅い?女性の結婚確率と「35歳の壁」の本当のところを論文で検証
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35歳からの婚活は遅すぎるわけではありません。女性の平均初婚年齢は29.5歳で(厚労省「人口動態統計」2024年)、それをもとにした本サイトの推計では35歳以降の初婚も全体の1割強あります。「35歳の壁」の根拠とされてきた元データは17〜19世紀フランスの出生記録で、現代の研究では35〜39歳で妊娠しにくくなる度合いは緩やかです。ただし流産率と体外受精の成功率は年齢とともに確実に悪化するため、待つコストは年々上がります。
「35歳の壁」を2つの主張に分けて検証する
「女性の婚活は35歳が壁」という言説は、分解すると2つの主張に分かれます。「35歳を過ぎると結婚しにくくなる」という統計の主張と、「35歳を過ぎると妊娠率が急落する」という医学の主張です。この記事では前者を公的統計で、後者を査読論文で順に確認します。結論を先に言うと、どちらの意味でも35歳で急に落ちる「崖」はありません。ただし、流産率と体外受精の成功率は35歳前後から悪化するため、待つコストは年々上がります。
女性の初婚の12.6%は35歳以降:結婚できないわけではない
女性の平均初婚年齢は29.5歳です(厚労省「人口動態統計」2024年)。初婚年齢の分布を本サイトの推計モデル※1で近似すると、女性の初婚のうち12.6%は35歳以降に起きています。初婚のおおむね8人に1人は35歳を過ぎてからで、「35歳を過ぎたら結婚できない」は事実ではありません。一方で、初婚年齢の分布の中での位置を偏差値にすると35歳は38.5で、婚活市場で不利な位置にいることは数字にも表れています。
| 年齢 | その年齢以降の初婚の割合(女性) | 年齢偏差値(女性) | 年齢偏差値(男性) |
|---|---|---|---|
| 25歳 | 82.6% | 59.4 | 62.4 |
| 30歳 | 45.9% | 49.0 | 52.4 |
| 35歳 | 12.6% | 38.5 | 42.4 |
| 40歳 | 1.4% | 28.1 | 32.4 |
自分の年齢の偏差値は年齢偏差値ツールで計算できます。
出典:厚労省 人口動態統計(2024年)(e-Stat のデータを加工して作成)
未婚率が大きく下がるのは30代まで
国勢調査(2020年)では、女性の未婚率は30〜34歳から35〜39歳にかけて11.6ポイント下がるのに対し、35〜39歳から40〜44歳にかけては4.1ポイント、40〜44歳から45〜49歳にかけては1.6ポイントしか下がりません※2。結婚は30代のうちにほぼ出そろい、40代に入ると未婚率の低下が急に小さくなるという形は男性と共通です。35〜39歳女性の未婚率は23.9%で、同世代の女性のおよそ4人に1人が未婚です。一方で、45〜49歳でも18.1%が未婚のままです。この表からは「35歳からでも結婚する人は大勢いる。ただし、何もしなくても自然に結婚が決まっていく年代は過ぎつつある」と読み取れます。
| 年齢階級 | 女性の未婚率 | 男性の未婚率 |
|---|---|---|
| 30〜34歳 | 35.5% | 46.0% |
| 35〜39歳 | 23.9% | 33.3% |
| 40〜44歳 | 19.7% | 28.0% |
| 45〜49歳 | 18.1% | 26.5% |
| 50〜54歳 | 16.0% | 23.8% |
出典:総務省 国勢調査(2020年)(e-Stat のデータを加工して作成)
「35歳の壁」の出どころは17〜19世紀フランスの出生記録
次に医学の主張です。「35歳を過ぎると妊娠率が急落する」という言説の大元をたどると、1986年に Science 誌に載った総説(Menken ら)に行き着きます。この論文が不妊割合の推計に使った元データは、避妊が普及する前の時代、主に1670〜1830年のフランスの教区記録です※3。しかも論文自体の結論は「不妊の割合は30代後半まで緩やかに上がる」というもので、「35歳で急落する」とは書かれていません。「壁」のイメージは、この論文が孫引きされるうちに付いた誇張に近いものです。
出典:Menken ら (1986)(詳細は参考文献)
現代の研究:35〜39歳でも妊娠しにくさは緩やかにしか上がらない
では、現代のデータはどうでしょうか。欧州の782組を追跡した前向き研究(Dunson ら、2004年)では、1年(12周期)で妊娠に至らない「不妊」の割合は19〜26歳で8%、27〜34歳で13〜14%、35〜39歳で18%でした※4。35〜39歳でも8割以上は1年以内に妊娠しており、不妊の割合は上がるものの急落ではありません。デンマークの一般人口コホート(Rothman ら、2013年)でも、1年以内に妊娠した割合は30〜34歳で87%、35〜40歳で72%でした。さらに2025年のオランダの一般集団コホート(Boxem ら)では、30〜34歳と比べて35〜39歳の不妊のオッズに統計的に有意な上昇はありませんでした※5。
| 女性の年齢 | 1年で妊娠に至らない割合(Dunson ら 2004) |
|---|---|
| 19〜26歳 | 8% |
| 27〜34歳 | 13〜14% |
| 35〜39歳 | 18% |
出典:Dunson ら (2004)・Rothman ら (2013)・Boxem ら (2025)(詳細は参考文献)
それでも待つほど不利になる理由:流産率は35歳から上がる
年齢の影響がはっきり出るのは、「妊娠のしにくさ」よりも流産率です。ノルウェーの全妊娠約42万件を登録データで追った研究(Magnus ら、2019年)では、自然妊娠を含む妊娠あたりの流産率は25〜29歳で9.8%、30〜34歳で10.8%とほぼ横ばいなのに対し、35〜39歳で16.7%、40〜44歳で32.2%でした※6。30代前半まで1割前後で安定していた流産率が、35歳を境に上がり始める形です。前出の Boxem らのコホートでも、30〜34歳と比べた流産のオッズは35〜39歳で約2倍(オッズ比2.03)、40歳以上で約4倍(オッズ比4.24)と、同じ傾向が出ています※9。それでも、35〜39歳では8割以上の妊娠が流産せずに経過します。
| 妊娠時の年齢 | 流産率(妊娠あたり) |
|---|---|
| 25〜29歳 | 9.8% |
| 30〜34歳 | 10.8% |
| 35〜39歳 | 16.7% |
| 40〜44歳 | 32.2% |
| 45歳以上 | 53.6% |
出典:Magnus ら (2019)・Boxem ら (2025)(詳細は参考文献)
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「いざとなれば体外受精」も年齢で成功率が下がる
「いざとなれば体外受精がある」という見通しも、数字で確かめておきます。日本の ART(体外受精・顕微授精など)の集計では、妊娠あたりの流産率は35歳で22.0%、40歳で35.6%、42歳で44.5%です。妊娠のごく早期から全例を追跡する不妊治療集団の値なので、前節の自然妊娠を含む統計より高めに出ますが※7、35歳から上がる傾向は同じです。治療を受けても、総治療周期あたりの生産率(出産に至る割合)は36歳から20%を割り、40歳では10.6%まで下がります。体外受精の成功率が下がり始める変曲点を35.5歳と推定した研究もあり※8、「35歳の壁」に実体があるとすれば、妊娠のしにくさではなくこちらです。
| 治療時の年齢 | 妊娠率(総治療周期あたり) | 生産率(総治療周期あたり) | 流産率(総妊娠あたり) |
|---|---|---|---|
| 30歳 | 29.4% | 23.2% | 18.1% |
| 35歳 | 27.2% | 20.5% | 22.0% |
| 38歳 | 22.3% | 15.5% | 27.8% |
| 40歳 | 17.2% | 10.6% | 35.6% |
| 42歳 | 10.6% | 5.6% | 44.5% |
出典:日本産科婦人科学会「2023年 体外受精・胚移植等の臨床実施成績」(詳細は参考文献)
相手男性の年齢も結果に影響する
見落とされがちなのが相手の年齢です。英国の体外受精約6万周期を解析した研究(Datta ら、2024年)では、女性が35〜39歳のときに限って、男性が40歳以上だと生産率が下がるという結果が出ています(男性が35歳未満の群の27.0%に対し、40歳以上の群では22.9%〜18.8%)。女性が35歳未満なら卵子側の余力が男性側の影響を打ち消し、40歳を超えると女性側の影響が大きすぎて差が見えなくなる、と解釈されています。卵子提供の1,712周期を対象に卵子の年齢の影響を取り除いた解析(ESHRE 2025学会抄録)でも、男性が45歳を超えると流産率が23.8%対16.3%、生産率が35.1%対41.0%と差が出ました※10。父親の年齢が1歳上がるごとに、子どもに伝わる新たな遺伝子変異が約2個ずつ増えることも知られています(Kong ら、2012年)。つまり35歳からの婚活で「年上の男性なら選ばれやすいから」と相手の年齢の上限を無条件に広げるのは、妊娠・出産の面では得策ではありません。男性の加齢の影響は男性側の年齢と妊娠・出産のリスクの記事で詳しく扱っています。
出典:Datta ら (2024)・Guglielmo ら (2025・学会抄録)・Kong ら (2012)(詳細は参考文献)
結論:35歳からの婚活で変えるべきは「速度」
データを重ねると、結論はシンプルです。35歳からの婚活は遅すぎません。初婚の12.6%は35歳以降に起きていて、同世代の女性の4人に1人は未婚です。妊娠のしにくさも、歴史データが示すほど急には上がりません。一方で、流産率と体外受精の成功率は35歳前後からはっきり悪化し、相手男性の年齢という要素も加わります。つまり「始めるには遅い」のではなく、「待つほど選択肢が減る」のです。変えるべきは速度で、具体的には次の3つです。
- 活動の期限を決める。「いい人がいたら」ではなく、期間を区切って集中的に会う
- 子どもを希望するなら、婚活と並行して産婦人科・生殖医療専門医に相談しておく
- 相手男性の年齢条件を感覚ではなくデータで見直す(上限を無条件に広げない)
出発点は、自分の現在地を数字で知ることです。婚活偏差値診断は、年収・身長・年齢など7軸での位置を公的統計の分布から無料で計算します。入力値はサーバーに送信されないので、登録なしで試せます。
本記事は統計データと公表された研究の紹介であり、医療上の助言ではありません。妊娠・出産に関わる個別の判断は、産婦人科医・生殖医療専門医に相談してください。詳しくは免責事項をご覧ください。
35歳女性の婚活についてよくある質問
- 35歳の女性が結婚できる確率はどのくらいですか?
- 女性の平均初婚年齢は29.5歳で、本サイトの推計では初婚全体の12.6%が35歳以降に起きています(厚労省「人口動態統計」2024年)。35〜39歳女性の未婚率は23.9%で、同世代の女性のおよそ4人に1人が未婚です。結婚できないわけではありませんが、未婚率が下がるのはほぼ30代までなので、先送りするほど条件は厳しくなります。
- 「35歳の壁」に科学的な根拠はありますか?
- 「35歳で妊娠率が急落する」という言説の元をたどると、17〜19世紀フランスの出生記録などの歴史データに行き着きます。現代の前向き研究では、35〜39歳で妊娠しにくくなる度合いは緩やかです。ただし流産率は、自然妊娠を含む集団でも30〜34歳の10.8%から35〜39歳で16.7%、40〜44歳で32.2%へ上がります(Magnus ら、2019年)。体外受精の成功率も35歳前後から下がるため、「壁はないが、待つコストは年々上がる」と理解するのが正確です。
- 35歳から婚活を始めて子どもを持てますか?
- 持てる可能性は十分あります。前向き研究では35〜39歳で1年以内に妊娠に至らない割合は18%で、8割以上は1年以内に妊娠しています(Dunson ら、2004年)。一方、体外受精の総治療周期あたりの生産率(出産に至る割合)は35歳で20.5%、40歳で10.6%と、年齢とともに下がります(日本産科婦人科学会、2023年)。妊娠を希望するなら、婚活と並行して産婦人科や生殖医療専門医に相談しておくのが確実です。
- 35歳からの婚活では何を変えるべきですか?
- 主に3つです。「いい人がいたら」ではなく、活動の期限を決めること。相手男性の年齢条件をデータで見直すこと(女性が35〜39歳の場合、男性が40歳以上だと体外受精の生産率が下がるという解析があります)。そして、婚活市場での自分の位置を数字で把握することです。本サイトの婚活偏差値診断は公的統計の分布から7軸の偏差値を無料で計算でき、入力値はサーバーに送信されません。
注記
- ※1年齢偏差値は、厚労省「人口動態統計」の平均初婚年齢を中心に正規分布(女性は標準偏差4.8歳)を当てはめた、本サイト独自の推計モデルで計算しています。実際の初婚年齢の分布は正規分布より高年齢側に裾が長いため、「その年齢以降の初婚の割合」は年齢が高いほど誤差が大きくなります。偏差値は25〜75の範囲に収まるよう、上下限で打ち切っています。定義の詳細はデータ出典のページ(/sources)に掲載しています。
- ※2同じ人たちを追跡した値ではなく、2020年時点の年齢階級どうしを横に並べて比べたものです。年齢階級が高いほど「今より結婚が当たり前だった世代」にあたるため、階級間の差には「結婚による未婚率の低下」と「世代の違い」の両方が含まれます。
- ※3Menken らが不妊割合の推計に使った自然出生力集団(避妊をしない集団)のデータには、1670〜1830年のフランスの教区記録(歴史人口学者の Henry らが整備し、Leridon が集計したもの)が含まれます。避妊も生殖医療もない時代の集団で、栄養状態も医療水準も現代とは大きく異なります。歴史資料としては貴重ですが、現代の35歳にそのまま当てはめられる数字ではありません。
- ※4欧州7施設で782組を追跡した前向き研究です。12周期で妊娠に至らず「不妊」と判定された夫婦も、さらに12周期(約1年)続けると、43〜63%(年齢が高いほど低い)が妊娠すると推計されています。同じ研究では男性側の年齢の影響も推計しており、女性が35歳の場合、12周期で妊娠しない割合は男性が35歳なら18%、40歳なら28%でした。
- ※5北米の妊活カップルを追跡した PRESTO コホート(Wesselink ら、2017年)も、年齢と妊孕性(妊娠のしやすさ)の関係を連続的に推定し、急に落ちる崖ではなく、なだらかに下がる形を示しています。研究間で数値に幅があるのは、対象集団(一般人口か妊活中のカップルか)や解析方法が違うためです。
- ※6ノルウェーの3つの全国登録(出生・患者・中絶)を照合し、2009〜2013年の全妊娠421,201件を集計した研究です。人工妊娠中絶の影響を補正した全体の流産率は12.8%でした。数えているのは医療機関で把握された流産(妊娠20週未満)なので、受診に至らないごく早期の流産は含まれません。実際の割合はどの年齢でもこれより高いと考えられます。年齢別で最も低いのは27歳(約9.5%)でした。
- ※7ART(生殖補助医療)のデータは不妊治療を受けた人の集計なので、自然に妊娠しやすい人が含まれにくい偏りがあります。また ART では妊娠のごく早期から全例を検査で追跡するため、自然妊娠なら気づかれないまま終わる早期の流産も流産率に数えられます。表の妊娠率・生産率は、採卵や移植に至らなかった周期も分母に含む総治療周期あたりの値で、最も厳しい定義です。移植あたりで見ると数値は高くなります(2023年の移植あたり妊娠率は全年齢計で39.0%)。
- ※8中国の単一施設の後ろ向き研究(Chen ら、2025年。3,012人)では、IVF(体外受精)の生産率が下がり始める変曲点は35.5歳(95%信頼区間 34.5〜36.5歳)と推定され、35〜37歳では1歳ごとに生産のオッズが27%下がる計算でした。単一施設の解析なので、数値そのものより「35歳半ばを境に下がり方が変わる」という傾向として読んでください。
- ※9オッズ比(何倍になるか)だけでは実際の頻度が分からないため、本文ではMagnus らの年齢別の流産率を実際の頻度の目安として併記しています。また流産の多くは胎児側の偶発的な染色体異常によるもので、本人の行動のせいではありません。
- ※10Guglielmo らによる ESHRE 2025(欧州ヒト生殖学会)の学会抄録(後ろ向き解析)で、査読付き論文としてはまだ出版されていません。卵子提供の周期を対象にして卵子側の年齢の影響を取り除いた点に意義がありますが、数値は今後論文化される過程で変わる可能性があります。
参考文献
- 厚生労働省「人口動態統計」(平均初婚年齢)
- 政府統計の総合窓口(e-Stat) 国勢調査
- Menken J ほか (1986) Age and infertility. Science
- Dunson DB ほか (2004) Increased infertility with age in men and women. Obstetrics & Gynecology
- Rothman KJ ほか (2013) Volitional determinants and age-related decline in fecundability. Fertility and Sterility
- Wesselink AK ほか (2017) Age and fecundability in a North American preconception cohort study. American Journal of Obstetrics & Gynecology
- Boxem AJ ほか (2025) Age among women and men, time to pregnancy and risk of miscarriage. BMC Medicine
- Magnus MC ほか (2019) Role of maternal age and pregnancy history in risk of miscarriage: prospective register based study. BMJ
- 日本産科婦人科学会 (2025)「2023年 体外受精・胚移植等の臨床実施成績」
- Chen Y ほか (2025) When to Choose In Vitro Fertilization (IVF) When Postponing Conceiving. Obstetrics and Gynecology International
- Datta AK ほか (2024) Livebirth rates are influenced by an interaction between male and female partners' age. Human Reproduction
- Guglielmo MC ほか (2025) Advanced paternal age affects miscarriage and live birth outcomes in oocyte donation cycles. ESHRE 2025 学会抄録
- Kong A ほか (2012) Rate of de novo mutations and the importance of father's age to disease risk. Nature
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出典: 政府統計の総合窓口(e-Stat)(https://www.e-stat.go.jp/)の各種統計を加工して作成。本記事の数値は e-Stat 等のデータを加工して算出した参考値であり、政府の公式見解・試算を示すものではありません。 各統計の年次・取得日はデータソースに掲載しています。